2019-09-17

世界各国で利下げが相次ぎ、通貨安競争が広がり、通貨戦争の恐れ。

経済戦争と平和

週刊エコノミストOnline-毎日(weekly-economist.mainichi)は2019年09月17日に、IMF(International Monetary Fund/国際通貨基金)は2019年08月21日のブログ「Taming the Currency Hype」で、世界各国で利下げが相次ぎ、通貨安競争が広がる現状を憂慮した。

「自国通貨安を誘導しても貿易収支の改善は限定的。国際金融システムを害し、各国に悪影響が出る」と警鐘を鳴らした。

景気後退懸念が強まる中、世界的に緩和競争は激しさを増している。
FRB(US Federal Reserve Board/米国連邦準備理事会)は2019年07月31日に、世界経済の成長鈍化や米中貿易摩擦による先行き不透明感、低インフレへの「保険的」対応として、10年半ぶりに利下げを実施した。

は2019年08月にはインド、タイ、フィリピン、ニュージーランドなどが利下げで追随した。

さらに市場は2019年09月12日のECB(European Central Bank/欧州中央銀行)、2019年09月17、18日のFOMC(Federal Open Market Committee/米国連邦公開市場委員会)での利下げも織り込みが進む。

米中貿易摩擦は2019年08月に新たなフェーズに入った。

米国のドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)が第4弾の対中追加関税を打ち出すと、中国はUS$1=7元台の人民元安を容認。

追加関税の効果相殺を狙った報復措置と捉えた米国は、中国を「為替操作国」に認定、対ドルで加速する人民元安の阻止に向かい、貿易摩擦は通貨戦争へと発展した。

はこの動きは、ユーロにも矛先がむかった。
今回の利下げを巡っては、米国のドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)がいち早く「ECB(European Central Bank/欧州中央銀行)は通貨ユーロの対ドル相場を引き下げ、米国の輸出を妨げている」と不満を表明したが、ECBのマリオ・ドラギ総裁(ECB president Mario Draghi)はこれについて、「我々の義務は物価の安定であり、為替相場に関する目標はない」とかわしている。

ドル高を嫌うトランプ大統領は、米国が利下げしたのにもかかわらず、世界的な緩和競争の中で、リスク回避のマネーが相対的に景気が底堅く金利も高いドルに集まり、為替市場全体でドル高が進んだ。

通貨別に2018年09月からの1年間の対ドルの増減率を見ると、ユーロは約5%下落。人民元も約4%落ち、特に元安容認以降の下落幅が目立つ。

EU(European Union/欧州連合)離脱問題で先行き不安を抱える英ポンドも約4%下落。主要通貨では、「安全資産」とされる円だけがドルに対して唯一上昇(約4%)し、円高になっている。

つまり、現在の為替相場では「ドル高であり、円高でもある」というドル・円2強の状態が続いている。

他方、世界各国で金融緩和による景気下支えの限界が意識されて初めている。

ドイツのオーラフ・ショルツ財務相(Federal Minister of Finance Olaf Scholz)は2019年09月10日の議会下院で、経済危機の場合でも経済に「数十億ユーロ」を注入すれば対処可能と強調した。EU内でもドイツの財政出動への期待が高まっている。

今後、どうなる?

2019-09-12---ヨーロッパの中銀ECB、3年半ぶり利下げ!
2019-09-01---トランプ政権、対中関税の第4弾を発動。
2019-08-26---米中摩擦激化や円高で、約8カ月ぶりの安値。
2019-08-18---米国の景気は、いつ急落するか!?
2019-08-08---中国人民銀行、人民元、基準値11年ぶり7元台。
2019-08-07---米中貿易戦争と、米国のFOMCの利下げで、世界へ利下げ連鎖!?
2019-08-05---NY株、今年最大の下げ!急落US$767安。
2019-08-02---フィリピンのドミンゲス財務相、米中貿易戦争懸念、成長率は維持。
2019-07-31---FRB10年半ぶり利下げ、0.25%。
2019-07-31---ブラジルも利下げ!米国に追従!