2019-02-15

トランプ、壁建設の公約実現へ「禁じ手強行!」

戦争と平和麻薬とメディア

日本経済新聞 電子版は2019年02月15日に、米国のドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)は、が、議会の承認を経ずにメキシコとの国境の壁を建設するため「非常事態(Emergency)」を宣言する方針を決めたと報告した。

議会の権限を無視する「禁じ手」に野党の民主党は反発を強めており、上下両院で多数派が異なる「ねじれ議会」での政策協議の停滞は必至となった。3月初旬に期限が切れる米債務上限問題にも影響は避けられず、米国債の債務不履行のリスクが浮上しかねない事態になった。

民主の上下両院トップのナンシー・ペロシ下院議長(House Speaker Nancy Pelosi)とチャック・シューマー上院院内総務(Chuck Schumer Senate in-house general affairs)は2019年02月14日に「非常事態宣言(Emergency declaration)は不法行為で、大統領権限の乱用だ。」声明でトランプ大統領の方針を激しく非難した。トランプ大統領が宣言に踏み切れば、ペロシ下院議長は法廷闘争に持ち込む構えを示した。

非常事態宣言は「国家非常事態法(National Emergency Act)」に基づくもので、国家の緊急事態に際して大統領の権限に自由裁量を与える別の法律を活用できる。これまで第2次世界大戦の開始直後や2001年の米同時テロの際などに出されたことがある。トランプ政権下では、中米ニカラグアの政変など3回にわたって宣言された。延長しなければ180日後に失効する。

トランプ大統領はメキシコから不法移民や違法薬物、犯罪が米国に流入していると主張した。
2019年01月の国民向けテレビ演説では「人道的な危機」だとあおり、宣言への地ならしを進めてきた。

上下両院が2019年02月14日に可決した予算案は、焦点だった壁建設について約US$14億を投じ国境沿いの55マイルにわたって新たなフェンスを設ける内容であった。「US$57億ドルを手当てして234マイルの壁」を造るというトランプ大統領の要求とは隔たりはあるが、再度の政府閉鎖を避けるために共和、民主両党が互いに譲歩した。

ただ、要求に満たないからといってトランプ大統領が予算案に署名しなければ2019年02月16日から再び政府閉鎖を招き、自身が批判を浴びることになる。

このため、「非常事態宣言」は政府閉鎖を回避しながら、公約の実現をめざす苦肉の策であった。

しかし、米国のメディアによると、司法省はホワイトハウスに対し、法廷闘争によって宣言の効力が差し止められる可能性が高いと指摘していた。トランプ大統領の周辺も訴訟リスクが高いと警告してきた。

身内の共和内にすら宣言への反対論がある。

マルコ・ルビオ上院議員は2019年02月14日に、「危機があるからといって憲法違反をしていいわけではない。」と言ってきた。

2019年03月01日には連邦政府の債務の法定上限が期限を迎える。

米連邦政府は国債の発行などを通じて借金できる総額が法律で定められている。

上限に達すると、米国議会の承認を得て上限を引き上げる必要がある。

対立を深めている与野党が引き上げで合意できなければ、新規に国債が発行できなくなり、米国国債がデフォルト(債務不履行)に陥るリスクも浮上する。
米国財務省が緊急措置を講じても数カ月で資金が底を突くとの見方もある。