2017-10-18

再び、人民元崩壊の恐れ!?

政治経済

日本経済新聞 電子版は2017年10月16日に、「再び「人民元ショック」が起きるかもしれない。」と報告してきた。

米国金融政策の正常化による市場混乱への不安が消えない。

かつて中国から資本が大量に流出し、国際金融市場を混乱に陥れた。

日本も円高・株安が進み、日銀に冷や水を浴びせた。

中国は2017年10月18日から始まる共産党大会を前に財政出動で景気を支えてきたが、再び経済激動の季節に移り変わるかもしれない。

「今後、数年は利上げが続く。」

2017年10月15日、FRB(Federal Reserve Board/米国連邦準備理事会)のジャネット・イエレン(Janet Louise Yellen)議長は利上げ継続の構えを崩さない。
イエレンの任期は18年2月までだが、トランプ米国大統領が人選を進める後任候補も利上げ派の人ばかりである。

米国の利上げは、新興国から資金が米国に大きく移り、世界経済に混乱を引き起こしてきたから、20年前にはアジア通貨危機が起こったので、世界経済に悪夢を思い出させる。

日銀の黒田東彦総裁は2017年10月13日に、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の閉幕後の記者会見で、「国際金融上の新興国に対する影響がないかどうか注視する。」昔も今も同じ構図だと、強調した。

20年前と今と違うのは中国経済の存在感になる。
2014年10月のFRBによる量的緩和第3弾(QE3)の終了決定と、2015年12月のゼロ金利解除で、中国で資本流出が進んだことから、中国株下落も相乗し、世界同時株安を招いた。

中国政府は人民元安を食い止めるため為替介入を繰り返した。
その結果、2014年半ばに約US$4兆(450兆円)あった外貨準備は2017年01月にUS$3兆を割り込んだ。
2016年秋以降、海外への資本流出を防ぐ規制も強化した。一定規模以上の海外投資には当局の事前審査を求め、銀行の外貨両替や元の海外送金を制限した。

米国の利上げペースが市場予想より遅いこともあり、結果として、人民元相場は安定し、外貨準備は8カ月連続で増えた。

しかし、2017年09月末時点の準備額はまだUS$3.1兆しかないので、為替介入で防ぐには心もとない。「為替介入を継続できる水準には回復していない」と、三菱東京UFJ銀行の藤瀬秀平アナリストは指摘した。

資本規制の評判も芳しくない。

BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「場当たり的な対応はいずれ行き詰まる」と語る。

IMF(International Monetary Fund/国際通貨基金)は2017年08月、中国経済に関する審査報告で資本規制に「公平性と透明性を確保すべきだ」と求めた。

これは同時に、中国の負の遺産をどう整理するかという難題でもある。

中国の政府と民間を合わせた債務は3月時点で国内総生産(GDP)比率で約260%にも膨らんでいる。

米国大手格付け会社2社は2017年05月以降、相次ぎ中国国債の格付けを下げた。

この信用低下は人民元安に拍車をかける要素にもなっている。

中国の企業債務の65%は、国有企業が占めている。
つまり、国有企業の改革が進めば債務問題は改善する。

メガバンク首脳は「2018年にかけて、政治の季節は終わりを告げる」と語る。

市場関係者は中国政府が5年に1度の共産党大会を前に景気を下支えするため積極的な財政出動を続けてきたとみている。しかし、党大会が終了した後は政治要因での経済への追い風が弱まる懸念がある。

前回の人民元ショックは、日銀の金融緩和に影響し、その効果を減じた。
これが再び起きたら、日本には円高・株安の波が押し寄せる。

幸い、米国の利上げは歴史的に見ても緩やかなペースにとどまる。

だが、米国金融危機後に、未曽有の規模で拡大した金融緩和の出口が無風であると信じるほどの材料はまだ乏しいと伝えている。