2017-06-24

大規模調査で見えたアルツハイマー病予防のヒント。

健康

日本経済新聞 電子版は、日経サイエンス2017年8月号からとして、今から100年以上前、バイエルン州キッツィンゲン郡マルクトブライト(Marktbreit, Kitzingen, Bayern)出身で、チュービンゲン大学(Eberhard-Karls-Universität Tübingen)を卒業生し、フランクフルト市立精神病院(Frankfurt am Main, the Städtische Anstalt für Irre und Epileptische (Asylum for Lunatics and Epileptics))勤務などを経て、ドイツ精神医学の源流であるミュンヘン大学(Ludwig-Maximilians-Universität München)のエミール・クレペリン(Emil Kraepelin/1856年日 - 1926)のもとで勤務していた神経病理学者アロイジウス・"アロイス"・アルツハイマー(Aloysius "Alois" Alzheimer/1864 - 1915)は、1901年に認知症を患っていたアウグステ・データー (Auguste Deter) が1906年04月08日に死亡すると、中年女性の脳を摘出したところ、異常なたんぱく質が固まった老人斑と、神経細胞内で線維状のたんぱく質が絡み合った神経原線維変化が見られたことを1906年11月03日に南西ドイツ精神医学会(Southwest German Psychiatrists)で発表したと報告した。

当時はまったく注目されなかったが、1970年代にこのタイプの認知症が広範に存在することが判明し、社会問題となった。製薬企業はアルツハイマー病治療薬を精力的に研究してきたが、当初有望と思われた候補物質も臨床試験では奏功せず、根本的な治療法はまだない。

現在、世界には5000万人の認知症患者がおり、うち6〜7割がアルツハイマー病とみられる。
治療の困難さが浮き彫りになる中で、アルツハイマー病のリスクを下げ、発症を防ぐにはどうすればよいかを見極めようとする研究が活発化している。
NIH(National Institutes of Health/米国国立衛生研究所)の専門家会議は2010年、認知症のリスクを下げる特定の要因があるかどうかについては結論を出せないとの見解をまとめた。

そして、発症予防の候補となる要因を複数組み合わせて調べる無作為比較試験を実施するよう提言した。

その最初の例のひとつが、フィンランドで2009年から2011年にかけて実施された「FINGER(The Finnish Geriatric Intervention Study to Prevent Cognitive Impairment and Disability)試験」だ。認知症のリスクがやや高いと判断された66〜70歳の高齢者1260人が参加し、約半数がくじ引きで無作為に選ばれて、認知症のリスクを減らすとみられる要因を盛り込んだプログラムに取り組んだ。野菜と魚を中心とした地中海式食事を多く摂り、筋力トレーニングと有酸素運動をほぼ毎日実施し、認知機能の課題をこなし、医療者によって定期的にメタボリック検査や血管のチェックを受けたのだ。

2年後に調べたところ、プログラムに参加したグループは、そうでないグループより認知機能テストの点数が25%高くなった。参加しなかった人は、逆に認知力低下のリスクが30%高かった。

研究チームは「アルツハイマー病の予防に励むのに、遅すぎることはないようだ。認知力がすでに衰え始めていても、生活を変えることが役立つだろう」としている。

計画はさらに7年間延長され、現在も続いている。アルツハイマー病患者に見られる脳の萎縮などを、生活習慣の改善で防げるかどうかを調べる予定だ。同様の研究は欧州連合(EU)やスウェーデンでも実施されており、結果を比較検証するという。

(詳細は25日発売の日経サイエンス2017年8月号に掲載)