2017-02-15

暗躍する北朝鮮の女性工作員、殺害、拉致、爆破もお手の物。

犯罪と裁判人物戦争と平和

朝鮮日報は、かねてより北朝鮮は、女性を訓練して工作員として活用してきた。

韓国では、脱北者を装って女スパイが潜入した「元正花事件」が代表的であった。

北朝鮮の国家安全保衛部所属の元正花(원정화/ウォン・ジョンファ/1974 - )元工作員は、咸鏡北道清津で生まれ、実父や継父も北朝鮮の国家安全保衛部所属の工作員であった。2008年07月に間諜(かんちょう)活動の疑いで逮捕された。

元正花に関する当時の検察の起訴状によれば、女子高等中学校4年生だった14歳のとき(1988年)、成績優秀で学校への貢献度が高い生徒に授与される「二重栄誉赤旗記章」を受けた。

優秀な成績と出身成分(階級)の良さから社会主義労働青年同盟に選抜された後、平壌にある工作員養成所の特殊部隊に入隊した。

それから18歳まで護身術、毒針など殺傷兵器の使用法、山岳訓練、射撃などの訓練と軍事政治教育を受けたとされている。

南に派遣された後は、韓国軍将校らと内縁関係を結び、軍事機密を探り出した。

女性工作員も、男性とほとんど変わらない厳しい訓練を受けるといわれている。

テコンドーは平均3-4段以上で、ある程度の距離の島まで水泳で往復できるくらいの体力を備えているという。暗殺、拉致や爆破教育も受ける。

北朝鮮は、女性工作員をかなり前から活用してきた。

1970年代の日本人拉致の際にも、女性という利点を生かして拉致対象に接近した。

また金賢姫(キム・ヒョンヒ)元工作員は1987年の大韓航空機爆破事件の際、時限爆弾をセットする役割を務めた。

さらに、北朝鮮はこのところ、サイバー空間でも「ハニートラップ」を利用している。韓国の情報機関、国家情報院が最近明らかにしたところによると、架空の組織に務める美しい女性職員を装ってFacbookにアカウントを開設した後、そこを利用して韓国国内の各種情報を探るという方法を用いていると報告している。

朝鮮日報は暗殺の手口も紹介している。

実際に、北朝鮮は、過去にも暗殺を実行したことがある。また、毒針など毒劇物を利用して暗殺を試みたことが判明したケースもある。

ファン・ジャンヨプ元労働党書記もまた、亡命の後、暗殺の危険に生涯悩み続けた。実際、北朝鮮から送られた「ファン・ジャンヨプ暗殺チーム」二人が検挙されたこともある。

北朝鮮関連の活動をしていた韓国国民を毒針で殺害しようとしたケースが摘発されたこともある。

今回の暗殺でも、2017年02月13日午前9時26分ごろに記録された映像では、ボブヘアに白い長袖シャツ、短いボトムスを着ている女が空港の外で小さなショルダーバッグを掛け、何かを待っているように見える。この女性の周囲には荷物を持つ観光客が大勢いて、女は一見すると普通の旅行客のようである。

映像の別の場面では、この女が車道に出ている姿もとらえられている。

マレーシア・セランゴール州(Selangor, Malaysia)のCID(Criminal Investigation Department/犯罪調査局)のファドジル・アフマト(Fadzil Ahmat)副局長は、同空港で死亡した男性が金正男であることが確認され、地元警察がクアラルンプール国際空港の防犯カメラ映像を分析すると明らかにした。

中央日報は2017年02月15日に、「警戒されにくい女性が犯行、武器は隠しやすい毒針」と報告した。
北朝鮮事情に詳しい国策研究所の関係者は中央日報との電話で、「女性の場合、セキュリティー検査で男性に比べて自由であるため北は女スパイを送る」とし,「一人では活動に制約があるため2人でチームを組んで動くようにしたのだろう」と分析した。1987年に115人の犠牲者を出した大韓航空KAL858機爆破事件に当時25歳だった金賢姫が動員されたのと同じである。

この女が金正男毒殺に使用したのは毒針だと、複数の対北朝鮮消息筋が伝えた。
北朝鮮が主要人物の毒殺に使うのは大きく分けて、
毒ペン(万年筆またはボールペンの中に毒針が入った形態)
毒銃(ハンディライト型で毒針を撃つことができる形態)
毒薬カプセルおよびアンプルの3種類で、金正男暗殺に使われた毒針が毒ペンか毒銃かは確認されていない。

北朝鮮が毒殺によく使用する物質は「ブロム化ネオスチグミン」という毒物である。体内に10mgだけ投与されても呼吸が停止して心臓がまひし、即死する猛毒である。

2検察は2011年10月に、脱北者を装った北朝鮮工作員に毒針テロにあうところだったが事前の情報入手で命が救われた朴相学(パク・サンハク)は脱北者で、対北ビラ散布運動を行っている自由北韓運動連合代表で、朴相学を暗殺しようとした疑いで、脱北者出身の工作員を逮捕・起訴した。「アンプル型の場合、口内に入れて3秒で即死すると聞いた」と述べた。

朴相学代表を暗殺しようとしたスパイは検挙当時、検察は、被告の検挙現場で入手した毒銃や毒針などを公開した。長さ132ミリ・重さ35グラムのボールペン型毒針と毒銃2丁、毒薬カプセル3錠を所持していた。このうちボールペン型はふたを右側に5度回せば毒針が飛び出し、毒針にはブロム化ネオスチグミンが付いていた。 被告は、裁判所から懲役4年の刑を言い渡された。

2011年に金正日総書記が死去して金正恩体制に入り、北朝鮮は毒殺テロをまた積極的に活用する動きを見せた。

金正恩体制に反対する内容の対北朝鮮ビラを飛ばす活動をする朴相学はもちろん、脱北者を支援する人たちも毒殺の対象としてきた。

2011年08月21日に中国の丹東市内のデパートの前で当時46歳であった宣教師のパトリック・キム牧師が突然、口から泡を吹いて倒れた事例もある。当時タクシーを待っていたキム牧師は病院に運ばれたが死亡した。キム牧師は普段から脱北者を支援し、金正日体制非難文書を北朝鮮内部に搬入するなどの活動をしてきた。

金正男は金正恩政権のターゲットであり、2010年と2011年にも暗殺の動きがあった。
当時、暗殺の指示を出したのは当時偵察総局長だった金英哲(キム・ヨンチョル)と対北朝鮮消息筋は見ている。金英哲元局長は2010年の韓国哨戒艦「天安」爆沈事件の背後にいたと見なされている人物である。その金元局長が現在、金正恩体制で対南関係を総括する労働党対南書記兼統一戦線部長になってる。

北朝鮮が大韓民国内で暗殺した事件もある。今回殺害された金正男の従兄弟の李韓永である。李韓永は1982年にスイスに亡命し、韓国に定着した後、『大同江(テドンガン)ロイヤルファミリー』などの著書を出して北朝鮮の実情を暴露した。

李韓永は1997年02月15日、京畿道城南市ソヒョン洞にあった盆唐(ブンダン)の自宅のマンションの前で北朝鮮工作員2人に狙撃され、倒れているところを発見され、即死であった。当時、国家安全企画部(現在の国家情報院)と警察は、事件の3日前に発生した「ファン・ジャンヨプ労働党書記亡命事件」に対する北朝鮮の報復という可能性が高いとみて捜査を展開したが、李韓永のマンションのドアの前では北朝鮮製の拳銃で使われるベルギー製ブローニング拳銃の薬莢だけが発見された。暗殺者は捕まらなかった。暗殺者は、無事に北朝鮮に戻って、その工作員は北朝鮮当局から英雄の称号を受けたことで、ようやく北朝鮮工作員の仕業ということを確認した。