2015年11月09日

インド先住民の村、養蚕で貧困脱出。

ファッション

AFPは、インドの村に暮らす40歳の彼は、新しく作ったばかりの泥とれんがの家の中に置かれたテレビを指さし、もぞもぞと動き回る緑の虫たちカイコのおかげで、最近手にするようになった収入で買った自慢の品だという。

インドに何千人と存在する他の先住民集落の人々と同様、彼は極度の貧困を強いられている。つい最近まで、自分や家族のために十分な食べ物を手に入れることすらできなかった。そこで彼は故郷の村の住民に加わり、出身地の東部ビハール(Bihar)州の原生林で野生のカイコを育てる仕事に就くことを決めた。

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数十人の女性たちと一緒に育てているカイコは、絹(シルク)の糸を産生する。シルクは、サリーやその他の衣料品、インテリア雑貨などの素材に用いられ、インド国内はもちろん、欧州や米国からも高い需要を誇っている。

2児を抱え辺地に暮らすムルムさんは、他の養蚕業者へのカイコの卵の販売も行っている。
1年のうち3か月間の繁殖期に5万ルピー(約9万円)を稼ぐことができる。
これは現地においてはかなりの高収入になる。

彼はAFPに対し「以前はトイレも扇風機もない小さな家に住んでいた。養蚕を始めてから、後悔したことは一度もない。」と笑顔を輝かせて話しながら、大きな金属製のトランクから、ぴかぴかのモバイルコンピューターを取り出した。

部族の生活の様子を描いた色鮮やかな壁画で飾られた家には、トイレが2つ設置されている。前庭には水くみポンプがあり、テレビ鑑賞用の部屋まである。

インドのシルクは昔から高価で、重要な産業であった。

「アディバシ(Adivasi)」とも呼ばれるインドの先住民は、長きにわたりインドの社会経済的階級で最下層に置かれ、貧困率や栄養失調率、短命率はすべて最低水準となっている。

先住民たちは昔からビハール州や隣のジャルカンド(Jharkhand)州の深い森の中で養蚕に携わり、赤銅色で独特の風合いを持つタッサー・シルク(tussar silk)を生産してきた。

最新技術の活用で、生産量は近年急増している。
新たに養蚕に携わる人も増えており、貧困から抜け出す一助となっている。

地元のNGOプラダン(Pradan)は、顕微鏡を使って死んだカイコを見つけ、除去する方法を教えるなど、養蚕訓練を行ってきた。
プラダンでは「荒れ地にアルジュナの木を植える支援も続けている。その木でカイコを飼うんだ」と話した。インドは中国に次いで、タッサーシルクをはじめ、あらゆる種類の絹について世界第2位の生産国で、消費量も世界第1位である。

ビハールで活気づいているこの養蚕業は、かんがい整備が行き届いておらず、雨季でも雨量がさほど期待できないビハール州周辺で、先住民が伝統としてきた稲作を補完する役目も果たしている。

村ではカイコの飼育以外に繭(まゆ)をゆでて、絹糸を取る作業に携わる人たちもいる。繭をゆでると柔らかくなり、楽にほぐれる。1枚のサリーを作るのに通常、必要な繭は250〜700個だという。

養蚕業者の一人は、村の住民らが設立した協同組合からカイコの健康な卵を定期的に仕入れられるようになったおかげで、増収につながったと喜んでいる。

緑の蛍光色をした虫たちが食べている葉に、消毒液を吹きかけながらこう語った。「顕微鏡による卵のチェックは自分たちでやっている。悪い卵は捨て、良い卵を適正価格で買い入れる。そうすることで最大の利益が得られる。カイコが私たちの生活を変えてくれたんだ」と言っている。

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