2014-05-15

超高密度の天体「マグネター」の謎。

AFPは、わずかスプーン1杯の量で10億トンもの質量を持つ「マグネター(magnetar/帯磁星)」と呼ばれる超高密度の天体の謎が解明されたかもしれないと、科学者らが2014年05月14日、発表した。
「マグネター」の磁場は地球の数百万倍にも上る。
また「星震」と呼ばれる天体外層での突然変化で大量のガンマ線を放出することがある。

中性子星の一種と考えられている「マグネター」については、これまで謎に包まれていた。
中性子星は、大質量の恒星が自らの重力により崩壊して超新星爆発した後に起きうる2種類の帰結のうちの1つである。

銀河系には20以上の「マグネター」が存在する。
その中でも、しばしば研究対象となるのは、地球からの距離は約1万6000光年の「さいだん座(Ara)」のウェスタールンド1星団(Westerlund 1)にある「CXOU JI64710.2」である。

過去の研究では、太陽の40倍の質量を持つ恒星の超新星爆発によりこの「マグネター」が誕生したと結論づけられていた。
だがこの研究が新たな難問を浮上させた。

「どうしてマグネターになったのか理解できずにいた。これほど大質量の恒星は中性子星ではなく崩壊してブラックホールになるはず」と今回の研究を率いたESO(European Southern Observatory/欧州南天天文台)のサイモン・クラーク(Simon Clark)は述べた。

研究チームは、ESOの超大型望遠鏡VLT(Very Large Telescope)を使い、同じ星団内にあるウェスタールンド1-5(Westerlund 1-5)と呼ばれる恒星にヒントを発見した。

ウェスタールンド1-5は超新星爆発の力により超高速で星団の外へと移動しているとされ、研究チームは、その軌道と速度からこの天体がマグネター「CXOU JI64710.2」の形成に何らかの役割を果たしたと考えられるとした。

研究チームのシミュレーションによると、かつてウェスタールンド1-5は、別の若干小さい恒星との連星だったと言っている。

2個の恒星のうち、主星のウェスタールンド1-5がエネルギー切れを起こし、その外層が小さめの伴星「未来のマグネター」へと移動を始めた。
同時に伴星は激しく回転し始め、強力な磁場が形成されることになった。

だがこの伴星は、あまりに巨大化しすぎたため、新たに獲得した質量の大半を放出してしまう。
この放出された質量が重力の作用で主星へと戻り、現在のウェスタールンド1-5が形成された。

やがて伴星は爆発して「マグネター」系の中性子星となり、ウェスタールンド1-5は星団外へ向けて突き飛ばされたと言っている。

「この物質の交換の過程を通じて、ウェスタールンド1-5の独特な化学的特性が得られるとともに、ブラックホールの代わりに「マグネター」が形成されるほどに伴星の質量が減らされた」とサイモン・クラークは述べている。

ESOは、この説明が全ての「マグネター」に当てはまる可能性があると述べている。

「連星の星の1つであることが、マグネター形成のレシピに不可欠な材料なのかもしれない」とESOは声明で述べた。

「超強力な磁場の形成には、2つの恒星間の大質量の移動により生じた急速な回転が必要だとみられる。また2回目の大質量の移動により、マグネター候補星はその死の間際にブラックホールにならない程度にまで軽量化される。」とESOは声明で解説している。

この研究は、国際天文学誌アストロノミー&アストロフィジックス(Astronomy and Astrophysics)に発表される予定になっている。