2013年12月29日

日本経済新聞が、「Bitcoin」の成立の背景を探った。

モバイル・マネー

日本経済新聞は、「「Bitcoin」、ギークが育てた無国籍通貨」を公開した。

今年、にわかに世界で注目を集めた仮想通貨「Bitcoin」。
年初に1「Bitcoin」(BTC)=US$13だった相場は、知名度の高まりにつれ11月末にUS$1000を突破した。
2013年12月には人民元への影響を警戒した中国の当局が規制に乗り出す事態となり、その「通貨価値」はなお揺れている。
しかし、そもそも単なるインターネット上のデータにすぎないものがなぜこれほどの存在感を持つようになったのか。「共同幻想」とも表現される通貨の本質をあぶり出しているかのような「Bitcoin」。
その成立の背景を探ってみたと報告した。

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2010年5月、世界で初めて「Bitcoin」で購入された商品は、2枚のピザだったという。
代金は1万BTC。「2枚のピザ」の価値はいま、8億円を超えたと言っている。

いわゆるギーク(オタク)の間で主に流通し、マニアックな存在だった「Bitcoin」が脚光を浴びたきっかけは、今年3月のキプロスの金融危機だ。同国政府が銀行預金への課税を決めると、ウェブ上の無国籍通貨「Bitcoin」が資産の逃げ場になった。

続いて中国が相場を過熱させた。
2013年10月、ネット検索大手の百度(バイドゥ)が「Bitcoin」を決済通貨として採用したことで需要が急増(のちに受け入れ停止)。「Bitcoin」専門の取引所「Mt.Gox(マウントゴックス)」での相場は11月末、1BTC=1242US$まで上昇した。

米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長が2013年11月、書簡で「(仮想通貨は)長期的に有望」と指摘したことも、権威づけにつながった。
「Bitcoin」の相場は、通貨としての権威や信用度を映す面が強い。
日銀の黒田東彦総裁も2013年12月20日の会見で「大いに関心を持っている」と発言した。
世界の主要中銀がその動向に注目する。

中国はその後、人民元への悪影響を懸念し始めた。中国人民銀行などは5日、「人民元の法定通貨としての地位を損なうのを防ぐ」などとして、金融機関に対し「Bitcoin」を使った金融商品や決済サービスの提供を禁止すると通知した。これで相場は急落したが、27日時点では1Bitcoin=US$800前後で推移し、なお一定の価値を保っている。米欧では店舗や通販サイトの決済手段として利用が広がり、「Bitcoin」を世界に知らしめたキプロスでは、学費を「Bitcoin」で受け取る大学まで現れた。

これがよく語られる「Bitcoin」の歴史であると紹介した。
しかし、これだけではなぜ「Bitcoin」が通貨として成立したかの説明にはなっていない。

発行量がプログラムによって限られ、US$などの通貨に対して相場があるという点で、「Bitcoin」は金に似ているといわれる。
しかし装飾品などとしてそれ自体に価値がある金に対し、「Bitcoin」は単なるデータである。
無価値のものが支払い手段として流通し始めた現実は、「皆が価値があると思うから価値がある」という、循環論的な通貨の本質を体現しているようにもみえる。

Mt.Goxを運営するTIBANNE(ティバン、東京・渋谷)が立ち上げたサイトによると、「Bitcoin」は2009年1月、中本哲史(ナカモト・サトシ)という人物の論文をもとに生まれた。
2010年2月、最初の小さな取引所ができたことが、「Bitcoin」が通貨として成立するのに重要な役割を果たしたとみられる。

こう考えると「Bitcoin」の価値をイメージしやすいかもしれない。
もともとUS$などの通貨は、それ以前に通貨として使われていた金などの貴金属の交換証として発達した歴史がある。
現在、金本位制でないことを無視していえば、金と交換できるからUS$に価値がある。取引所ができたことによって「Bitcoin」はUS$と交換できるようになり、その交換証としての価値を持つようになったと言っている。

では、US$との交換価値はどうして生まれたのか?

一言でいえば、ギークをひきつける魅力を持っていることが大きい。
その魅力は大きく2つある。
システムのできのよさと無国籍性だと言っている。

「Bitcoin」はピア・ツー・ピア(P2P)という通信技術によって、金融機関を介さずわずかな手数料ですばやく決済や送金ができる。
ポイントは「相互監視」である。

「Bitcoin」の取引情報はすべて公開されている。
取引のたびに、偽造や二重支払いといった不正がないことを、他の利用者が検証し、承認する。
維持・運営を利用者自身が担うことで、システムの運営コストを下げている。
コンピューターの処理によって検証作業をした利用者には、新規の「Bitcoin」が割り当てられる。
この作業は金の採掘になぞらえて「マイニング」と呼ばれ、相互監視のインセンティブになっている。

権威を嫌うギークたちは、ネット上の百科事典「ウィキペディア」のようにみんなで作っていくものを好む傾向があり、「Bitcoin」の運営スタイルもそれに合致する。

発行量に上限がある「Bitcoin」は、政府の信用力や中央銀行の金融政策による影響を受けない。通貨規制で海外送金が制限されることも、量的緩和で価値が薄まることもない。
こうした権威からの自由や無国籍性も、ギークの好みに合う。

発行ペースは4年ごとに半減していき、希少性を高めて価値の低下を防ぐ。
こうした「Bitcoin」の設計は、仮想通貨としてこれまでになく完成度が高いと評価され、ギークの盤石な支持を得た。
これがキプロス危機などの出来事を経て、一般にも浸透し始めたというのが「Bitcoin」の「真実」といえそうだと言っている。

*現在の銀行に営業時間制度では、ピア・ツー・ピア(P2P)という通信など、インターネットなどの環境に追従できなくなっている。
*さらに銀行は、通信事故が多すぎる。

「Bitcoin」は今後、どう発展していくのだろう。

来日して10年になるジェームズ・マックワイトさんは、最近改めて「Bitcoin」の便利さに気づいたという。
「先日、金曜の深夜に友人から『お金を貸してほしい』とメールがあったんです。銀行を使うと、ネットバンキングにログインして、相手の口座の情報を入力する手間があり、そのうえ振り込まれるのは月曜日。手数料もばかになりません。でも、「Bitcoin」なら指定されたアドレスに金額を入力するだけですぐ送れて、手数料もほとんどかかりません。相手が海外にいても同じです。」と言っている。

東京・六本木のレストラン「ピンク・カウ」は、7月に「Bitcoin」による決済を始めた。
オーナーのトレーシー・コンソーリさんは、「クレジットカード決済では5%も手数料を取られますが、「Bitcoin」なら円に替えても1%です」と話す。専用の端末は必要なく、導入コストはゼロである。
タブレットに表示されたQRコードをスマートフォン(スマホ)で読み取れば簡単に決済できる。

企業などが提供する既存の高コストのサービスに対し、低コストの「Bitcoin」は競争力を持っている。
何万円もする百科事典をウィキペディアが代替したのと同じようなことが、決済の世界でも広がっていくのかもしれないといっている。

*今のような振替手数料では,モバイル・マネーの世界では成立しない。
*銀行のシステムは古く,現在の次元に対応できなくなっている。

ただし、中央銀行のような管理主体のない「Bitcoin」のシステムには危うさもある。

貨幣論に詳しい早稲田大学の岩村充教授によると「通貨は2つの価値でできている」という。ひとつは「他の人が価値があると思うことへの期待」で、すでに触れた循環論のような話だが、その前にもうひとつ、発行元の財務の健全性が重要とみる。
国であれば「将来の徴税力への期待」がそれにあたる。いわば価値の裏付けで、金本位制のもとでの金にあたるものといえるかもしれないと言っている。

取引所でUS$との相場が立つとはいえ、価値の裏付けが盤石とはいえない。
「Bitcoin」はやはり、国の通貨に比べると頼りない存在であると言っている。

投機資金も入る現在の相場はきわめて不安定。Mt.Goxでの対US$相場は、今年1月1日に1BTC=US$13、11月29日にUS$1242、12月18日にはUS$455と極端に上下している。
中国での規制が明らかになった今月初めには、2日で一時半値以下に急落するということも起きた。これでは、払う方も受け取る方も安心して使えない。

管理主体がないので、デマなどに相場が左右される可能性もある。
たとえば「システムに重大な欠陥が見つかった」などというデマで相場が混乱しても、それを公式に否定する存在はいない。
ネットワーク自体の安全性も問われる。
暗号技術が専門の横浜国立大学大学院の松本勉教授は「ネットワークが攻撃を受けてマヒすれば、「Bitcoin」をいくら持っていても使えなくなる」と、対策の必要性を指摘する。

岩村氏はこう警告する。「現在の熱狂は、限度いっぱいのスピードで自動車が走る高速道路に似ている。誰かがブレーキをほんの少し踏むだけであっという間に大渋滞が起こるように、価値に不安が芽生え始めたら一気にバブルが崩壊する可能性がある」

匿名性を悪用される懸念もある。
公開される取引情報には個人を特定する情報が含まれていないため、米国では拳銃や薬物など違法な取引の温床となって摘発された闇サイト「シルクロード」で決済に使われていた。

また、いくら暗号技術が安全でも、ハッキングによって財布ソフトである「ウォレット」を奪われれば財布を盗まれたのと同じである。海外ではこうした「強盗」の被害が複数報告されているが、大半は足がつかないままになっている。

Mt.Goxは、取引口座の開設時に本人確認ができる書類の提出を求めている。
ティバンのマルク・カルプレス社長は「取引情報が公開されている以上、システムに精通した人材が当局にいれば、取引所が持つ情報と照らし合わせて資金の流れを追跡できるはず」と話すが、海外には本人確認なしに口座を作れる取引所もあるとされ、完全に透明とはいえない。

*インサイダーや情報操作、マネーロンダリングなど,犯罪が隣接し,乱立する可能性は,どのように解決するというのか?と言うことである。

「Bitcoin」の仕組みに法律は追いついていない。
ドイツのように「Bitcoin」による納税や国内での取引を認めている国もあるが、金融商品を禁じた中国のほか、欧州銀行監督局(EBA)も今月13日、利用者保護の枠組みが未整備であるとしてリスクに留意するよう呼び掛ける声明を発表した。

日本でも同様である。
電子マネーの一種と紹介されることもある「Bitcoin」だが、日銀金融研究所によると、
(1)発行体がない。
(2)発行時の払い込みがない。
(3)特定の資産による裏付けがない。
の3点で従来の電子マネーとは大きく違う。
このため、前払い式の電子マネーやプリペイドカードを取り扱う資金決済法の対象にならない。

取引所での両替は2次売買にあたるが、実体を持たない「Bitcoin」は金券ショップなどを取り締まる古物営業法の対象からも漏れる。
マネーロンダリング(資金洗浄)との関わりでも、疑わしい取引が行われないよう事業者に届け出を求める犯罪収益移転防止法は、取引に使われる通貨を取り締まるものではないため、「Bitcoin」自体を規制することはできない。ハッキングによる盗難時の取り扱いを含め、既存の通貨の概念に収まらない「Bitcoin」に対してどんな法整備が必要なのかは、何か大きな問題が起きて初めて見えてくるというのが現状である。

日本銀行券への信頼が厚く、現金決済の割合が高い日本は、「Bitcoin」が普及しづらい環境といえる。ティバンは普及のため、「Bitcoin」に対応したPOS(販売時点情報管理)端末を開発している。スマホを使うより導入コストはかかるが「取引所の口座に入金されるので安全性が高く、決済時点のレートで円に替えて受け取れるので相場の変動の影響を受けない」(カルプレス社長)という。

*ここでは触れていないが,もっとも注目されているのが,もうすぐ米国で解禁されるネット・カジノである。
日本では,禁止されている賭博が,結果として「Bitcoin」で決済できることは,確実と言われている。
実は、Googleから広告費がCitiの小切手で送られてきた時、日本の大手銀行で換金が拒否されたことがある。
その原因は、宝くじであった。つまり,賭博製が高い宝くじやイギリスの賭けサイトの償金を受け取れなくするためだと言っていた。
これと同じことは起こるだろう。
*さらに危険なのは,今回の中国のように,突然国家規制が始まると、お金が取り出せなくなると言うことである。
*ただし、これらの危険は、「Bitcoin」の価値上昇の原因にもなる。

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