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人権週間

国際連合が、1948年の第3回総会で世界人権宣言が採択されたことを記念し、1950年第5回総会で、世界人権宣言が採択された12月10日を人権デーと定めた記念日とし、1949年に法務省と全国人権擁護委員連合会が12月10日を最終日とする1週間を人権週間と定めた。

人権週間には、人権尊重思想の普及高揚のための啓発活動を全国的に展開している。

「第60回 人権週間」強調事項
○「女性の人権を守ろう」
男は仕事,女は家庭」というように,男女の役割を固定的にとらえる意識などから生ずる種々の男女差別は,家庭や職場で依然として根強く残っています。少子化や高齢化が進むこれからの社会を担うためには,女性と男性が対等の立場で協力し,責任も分かち合うことが大切です。また,職場等におけるセクシュアル・ハラスメントや女性に対する暴力も,重大な人権問題です。

○「子どもの人権を守ろう」
陰湿で執拗しつような「いじめ」,教師による体罰,親による虐待,国内外での児童買春や児童ポルノのはん濫らんなど,子どもの人権をめぐる問題は深刻な状況にあります。子どもも一人の人間として最大限に尊重されなければならないということを,大人自身が自覚しなければなりません。

○「高齢者を大切にする心を育てよう」
我が国における高齢化の現状は,平均寿命の大幅な伸びや少子化などを背景として,5人に1人が高齢者となっています。こうした状況の中,高齢者に対する就職差別や,介護者等による身体的・心理的虐待など,高齢者をめぐる人権問題が大きな社会問題となっています。高齢者が自立した一個人として生きがいの持てる生活ができるように接していくことが重要です。

○「障害のある人の完全参加と平等を実現しよう」
障害のある人に対する人々の理解や配慮はいまだ不十分であり,車椅子での乗車を拒否されたり,アパートへの入居を拒否されるなどの様々な人権問題が発生しています。我が国は,「障害のある人も地域の中で普通の暮らしができる社会に」という「ノーマライゼーション」を基本理念の一つとしています。この基本理念を社会全体に根付かせ,障害のある人と障害のない人とが対等に生活し活動できる社会にしていくことが大切です。

○「部落差別をなくそう」
部落差別は,日本社会の歴史的発展の過程で形づくられた身分差別に基づくもので,今なお結婚を妨げられたり,就職で不公平に扱われたりするなど,差別事案が後を絶ちません。国民の一人一人がこの問題について一層理解を深め,自らの意識を見つめ直すとともに,自らを啓発していくことが必要です。

○「アイヌの人々に対する理解を深めよう」
アイヌの人々には独自の豊かな文化がありますが,近世以降のいわゆる同化政策や文化の伝承者の高齢化に伴い,文化の保存や伝承の重要な基盤が失われつつあります。また,アイヌの人々に対する理解不足から,就職や結婚などにおける偏見や差別が依然として存在しています。アイヌの人々に対する理解と認識を深め,その文化を維持し,その尊厳を尊重することが大切です。

○「外国人の人権を尊重しよう」
近年の国際化時代を反映して,我が国に生活する外国人は急増していますが,言語,宗教,生活習慣等の違いから,就職差別やアパートやマンションへの入居拒否,公衆浴場での入浴拒否など様々な人権問題が発生しています。人権に国境はありません。今後外国人のもつ文化や多様性を受け容れ,尊重することが,国際社会の一員として望まれています。

○「HIV感染者やハンセン病患者等に対する偏見をなくそう」
エイズ,ハンセン病を始め,感染症に対する正しい知識や理解の不足から,日常生活,職場,医療現場など社会生活の様々な場面で差別やプライバシー侵害などの問題が起きています。感染症に対する正しい知識と認識を持ち,偏見や差別をなくすことが必要です。

○「刑を終えて出所した人に対する偏見をなくそう」
刑を終えて出所した人やその家族に対する偏見には根強いものがあり,就職差別や住居等の確保の困難などの問題が起きています。刑を終えて出所した人が更生するためには,本人の強い意欲とともに,周囲の人々の理解と協力が必要です。

○「犯罪被害者とその家族の人権に配慮しよう」
犯罪被害者とその家族に対する人権問題としては,直接的な被害のほかに,興味本位のうわさや心ない中傷などにより名誉が傷付けられたり,私生活の平穏が侵害されたりすることなどが発生しています。犯罪被害者とその家族の人権問題への社会的関心が高まる中,一層の理解と配慮が望まれます。

○「インターネットを悪用した人権侵害は止めよう」
インターネットの普及により,個人の名誉を侵害したり,差別を助長する表現の掲載など,その匿名性,情報発信の容易さを悪用した,人権にかかわる様々な問題が起きています。インターネットを利用する人は,個人の名誉を始めとする人権に関する正しい理解を深めることが必要です。

○「性的指向を理由とする差別をなくそう」
同性愛者など,性的指向に関して少数派である人々への偏見は根強く,社会生活の様々な場面で人権問題が発生しています。性的指向による差別は不当であるという認識を持ち,偏見や差別をなくすことが必要です。

○「ホームレスに対する偏見をなくそう」
ホームレスの自立を図るための様々な取組が行われている一方,ホームレスに対する嫌がらせや暴行事件などの人権問題も発生しています。ホームレス及び近隣住民の人権に配慮しつつ,ホームレスの自立の支援をしていくことが必要です。

○「性同一性障害を理由とする差別をなくそう」
「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が施行され,一定の条件を満たす場合には,性別の取扱いの変更について審判を受けることができるようになりましたが,一方で,性同一性障害者に対する偏見や差別があります。性同一性障害に関する理解を深め,偏見や差別をなくすことが必要です。

○「北朝鮮当局による人権侵害問題に対する認識を深めよう」
平成18年6月,「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」が施行されました。我が国の喫緊の国民的課題である拉致問題の解決を始めとする北朝鮮当局による人権侵害問題への対処が国際社会を挙げて取り組むべき課題であり,この問題についての関心と認識を深めていくことが大切です。

○「人身取引をなくそう」
性的搾取,強制労働等を目的とした人身取引(トラフィッキング)は,重大な犯罪であり,基本的人権を侵害する深刻な問題です。我が国では「人身取引対策行動計画」が取りまとめられ,関係省庁が協力してこの問題に取り組んでいます。人身取引の実態に目を向け,この問題についての理解を深めていくことが必要です。